紫微斗数の命宮と身宮──なぜ出生時刻が必要なのか
紫微斗数は中国で生まれた占術で、十二の宮に星を配置して人生を読みます。四柱推命と並ぶ二大体系とされますが、出生時刻がないと始められないという制約があります。その理由を計算から説明します。
十二宮という盤
紫微斗数の命盤は、十二の宮でできています。命宮・兄弟宮・夫妻宮・子女宮・財帛宮・疾厄宮・遷移宮・交友宮・官禄宮・田宅宮・福徳宮・父母宮の十二。それぞれが人生の一分野を担当します。
この十二宮は、十二支(子・丑・寅……)の位置に固定された枠の上に乗ります。枠自体は動かず、どの枠が命宮になるかが人によって変わる、という構造です。
命宮が決まれば、残りの十一宮は反時計回りに順番に決まります。命宮の次が兄弟宮、その次が夫妻宮、という具合です。つまり命宮の位置が決まることが、命盤全体の出発点になります。
命宮の立て方
命宮は、旧暦の生まれ月と生まれた時刻(十二時辰)から求めます。手順は二段階です。
まず寅宮を起点として、旧暦の月数だけ順行します。旧暦1月なら寅、2月なら卯、3月なら辰……9月なら戌。これが「生月宮」です。
次に、生月宮から生まれた時辰の数だけ逆行します。子の刻を0として、丑が1、寅が2……亥が11。たどり着いた宮が命宮です。
実例です。旧暦9月生まれで卯の刻(朝5時〜7時)に生まれた場合。生月宮は戌、卯の刻は3なので戌から3つ逆行して未。命宮は未宮になります。
身宮は逆方向です。生月宮から時辰の数だけ順行します。先の例なら戌から3つ順行して丑。身宮は丑宮です。
一時間のずれが宮を変える
ここが出生時刻を要求する理由です。十二時辰は二時間刻みなので、時辰が一つ変われば命宮が一つ隣に移ります。宮が変われば、そこに配置される星がすべて変わり、読みが根本から変わります。
たとえば卯の刻(5〜7時)と辰の刻(7〜9時)では、命宮が未宮と午宮で異なります。午前6時50分生まれと午前7時10分生まれでは、わずか20分差で別の命盤になるわけです。
四柱推命なら時柱が変わるだけで年柱・月柱・日柱は残りますが、紫微斗数は命宮が盤全体の起点なので、ずれの影響がはるかに大きくなります。
このため、出生時刻が「朝ごろ」といった曖昧な記憶しかない場合、紫微斗数の結果は暫定として扱うしかありません。母子手帳など一次記録があるかどうかで、使える精度が変わります。
五行局を求める
命宮が決まったら、次に五行局を求めます。これは星を配置する基準で、大限(十年ごとの運)の進み方も決めます。
手順は、まず命宮の天干を求めます。年干から五虎遁という規則で寅宮の天干が決まり、そこから命宮の位置まで順に進めると命宮の干支が出ます。
次に、その干支の納音五行を調べます。納音は六十干支を二つずつ三十組に分け、それぞれに五行を割り当てたものです。たとえば癸巳は「長流水」で水、己未は「天上火」で火。
納音五行に応じて、水二局・木三局・金四局・土五局・火六局のいずれかになります。局数が小さいほど運の立ち上がりが早く、大きいほど後半に伸びる型とされます。
星曜の配置
五行局が決まると、旧暦の生日と組み合わせて紫微星の位置が決まります。紫微星が決まれば、天機・太陽・武曲・天同・廉貞といった紫微系の星と、天府・太陰・貪狼・巨門・天相・天梁・七殺・破軍という天府系の星が、決まった規則で全宮に配置されます。
主星は合計十四。これに吉星・凶星・四化星などの補助星が加わり、一つの宮に複数の星が同居します。どの宮にどの星が入るかで、その分野の読みが決まります。
たとえば財帛宮に武曲(財の星)が入れば金銭に強い、官禄宮に太陽が入れば公的な立場で力を発揮する、といった具合です。主星が入らない「空宮」もあり、その場合は対面の宮から星を借りて読みます。
当サイトの紫微斗数は現在、命宮・身宮・五行局までの簡易版です。十四主星の配置は実装していないため、十二宮ごとの詳細な読みは出していません。
四柱推命との違い
紫微斗数と四柱推命は、どちらも生年月日時を使いますが、アプローチがまったく違います。
四柱推命は五行のバランスを見る体系です。八つの文字を五行に分解し、多すぎるもの・足りないものを判定して、何を補えばよいかを考えます。連続量の分析に近い発想です。
紫微斗数は星を宮に配置する体系です。どの分野にどの星が入るかという、離散的な配置の問題として扱います。四柱推命が「バランス」なら、紫微斗数は「地図」です。
両者は補完的で、併用する占術家も多くいます。四柱推命で全体の気質と運の流れを押さえ、紫微斗数で分野ごとの具体を見る、という使い分けです。
生年月日を入れると、この記事で説明した手順をそのまま適用した結果が出ます。算出根拠も開けます。
九占暦で占う関連する解説
※この記事は占術の仕組みを解説したものです。占いは娯楽・参考を目的としたものであり、健康・金銭・進路など重要な判断は専門家への相談とご自身の検証に基づいて行ってください。